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ブログ - ◆回想-小川心耕さん(2)『君と一夕話』  徳利山

◆回想-小川心耕さん(2)『君と一夕話』  徳利山

カテゴリ : 
ブログ
執筆 : 
人間禅道場 2019/12/12 18:36

◆回想ーーー小川心耕さん(2

   『君と一夕話』

~君と一夕話、読むに勝る十年の書~

          徳利山

日暮里駅からJR鶯谷駅方面に向かって4500メートルほど歩いたか、ふと、商店街の道端で目に止まった手書きの言葉があった。
  君とともに春風に座し
  秋月を分かたんと欲す
なぜこんなところに、こんな風雅な句が!?…と近づいてみると、その句の横に居酒屋の入り口があって、どうやらその居酒屋のキャッチコピーらしい。写真を撮ってその場を過ぎた。


後日、何か出典がある句かも知れないと思って調べてみると、徳川時代から明治・大正を中心に広く普及し、多くの文人・教養人に愛読された『酔古堂剣掃』(すいこどうけんすい)の中に次のような句があることを知った。
「肝胆相照らせば、天下と共に秋   月を分かたんと欲す。意気相許せば、天下と共に春風に座せんと欲す」
刺身居酒屋新太郎のキャッチコピーは、どうやらこの句を詰めたものに違いなさそうだ。

心耕さんの父、無得庵こと小川忠太郎先生は、宏道会での稽古後の座談の中で時々安岡正篤師の話をされたが、『酔古堂剣掃』は、その安岡正篤師が推奨する中国明末の名著である。
時の教養人陸紹?(りくしょうこう)が長年愛読した儒仏道の古典の中から、会心の名言・嘉句を抜粋して収録した読書録だ。

その中に、「君と一夕話…」というのがある。
「君と一夕話(いっせきわ)、読むに勝(まさ)る十年の書」
一夕話とは、ある晩語られた話のこと。十年かけて勉強したり読んだ本より、君と一晩語りつくしたほうがずっといい、という意。

この名句を思い出すたびに目に浮かぶ光景がある。何年前のなんの会の時だったか、日暮里の擇木道場で心耕さんと二人、飲み明かした時のことである。
いつものように静かに、しかし沈黙の間も、お互いに吐く息吸う息を味わっていた。通う心の「さざ波」…
気がつくと、小鳥の声を聞いていて、それぞれの帰途についた。



旅の電車の中で、旅の宿で、海のそばで、山の中で、滝川のほとりで、花の下で、月の下で……一体どれだけの時間を心耕さんと酌み交わしたことだろう?!
そんな、二人のひとときを思うとき、浮かんでは口ずさむ詩が、真山民の漢詩「山中の月」だった。
詩中の「月」が、心耕さんと重なるからだろう。
そしてそこに、この詩を大学の吟詠部時代に二人で合吟した親友米井が重なる。
「月」と「我れ」と「親友」が溶け合う。

  我れは愛す
  山中の月
  烱然(けいぜん)として
  疎林に掛かるを
  幽独の人を
  憫(あわれ)むが為に
  流光衣襟(いきん)に散ず
  我が心本(こころもと)
  月の如く
  月も亦(また)
  我が心の如し
  心と月と
  両乍(ふたつなが)ら
  相照らし
  静夜長(とこしな)えに
  相尋ぬ


   *烱然…皎々と輝くさま。*
   疎林…木がまばらに生えてい
   る林。*幽独…孤独。*衣襟 
   …衣の襟(えり)元。*心本
   …本来の私(の心)。   

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