人間禅道場

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トップ  >  一期一会の茶花 佐藤妙珠

 一輪の花で心が洗われ、その世界に入り込むことが出来る気分にしてくれる茶花は大変好きです。特に自然に在るがままの草花には見とれてしまいます。そのお花に係わることが出来る幸せはこの上ないものです。
 京葉・房総支部での植物手入れと茶室の茶花を活ける経験から得たことを記します。

 茶花の手入れ・育て方


 幼い頃、自然豊かな那須に住んでいましたので親に厳しく言われたことは、野の花は見るもので根ごと採るもので無いと言われ続けました。その頃、草花遊びを沢山しましたが、採ってきて庭に植えることは全くありませんでした。
 何処に何の花があり、何時頃咲くか、どんな草花遊びをすると楽しいかは、どの子も知っていましたので懐かしい楽しい時代でした。その頃は親を通じて草花の名前や植物の漢方薬としての話を聞いていました。大人になり茶花の本に書かれたり、草花遊びのことが本に書かれたりしていることが一瞬信じ難い気がしました。しかしよく考えてみると、野山の草花を絶やさないためにはむやみに採ることはいけないと思います。今でも写真に撮ることは良いが草花は採らないことと言われています。
 
「一期一会の茶花」とは、草花のある環境そのものに近づけて育て、草花の咲いているように活けるのが良いのではないかと思われます。茶花には野草と木に分かれますが、お庭での手入れそのものは殆ど同じです。

①周りの雑草を取る
 その際、雑草は強く抜かない。少し揺らし大事な草木の根を傷めないようにしてそっと抜く。草木の根に強い雑草は絡みつき、一緒に抜け根を傷めるからです。

②間引きと枝掃いをする
 今年は「沢山生えてきて嬉しいわ」と思われますが、そうはいきません。野草類は細くなり同じ栄養素を取るので葉だけ伸び、肝心の花付きが悪いのです。木にも同様なことが言えます。枝だけ多くなり陽に当たらないところの枝は、極端な例では枯れたり病気になったりします。それを防ぐには、枝を掃ったり剪定が大切です。しかし、木の種類によっては時期も考えないと木そのものが枯れる場合があります。
 木には周囲の篠竹やツタなどの下草を刈り取る手入れも必要です。
 手入れをする時、野草や木でも出来る限り手を伸ばして雑草を取ります。それが出来ない時は、同じ場所には何回も留まらないように気を付けています。周囲の土を踏み固めないためにそうしてます。野草や木の根が伸びようとしても伸びないのです。万が一、土を固めてしまった時は土を軟らかくします。
 野草や木にも肥料が大切ですが、一番の肥料は落葉の腐葉土です。化学肥料はもちろん一部には役に立ちますが、野草や木には葉や花が黒ずんだり枯れたり、一部を傷つけたりし余り良いことはありません。自然のままが一番良いです。しかし、ボタンだけは、花を豪華にするため多くの肥料を使います。
 間引きした野草と枝掃いした枝は無駄にせず、他に植えたり、挿し木したりしますと殆どは根付きます。私はそのようにして野草と木を増やしています。又、茶室で使用した枝ものも挿し木にして増やしています。そのような時は、水を毎日あげることが大切です。私はそれに一言声を掛けています。「根付いて花を咲かせて下さい」など、余談ですが意外と効果があり、おかげさまでどの木もよくつきます。花が咲くには2~3年掛かりますが、挿し木で花咲くことが嬉しく毎年残りの木は挿し木にしています。


 茶花を活ける心構え


①道場と家の茶室に活ける茶花は買わない
 花屋で買わないで、道場と家にある野草と木を茶花として使うことを20数年続けています。木で今までに買ったものは、初釜に使った「ツクバネ」だけです。家でツクバネを育てていますので3年後には買わないで済みそうです。

②茶花の記録を撮る
 茶室に活けた茶花の反省資料として写真に納める。カメラの白黒から現在まで摂心会の朝の茶席で私が担当がした時は、必ず写真で撮っています。朝の暗い時はよく撮れませんが、朝の光がさした時ははっきりと撮れます。茶室担当として現在も続けていますので写真の量もかなりのものです。しかし、一枚として満足のいく活け方は出来ず反省ばかりです。
 茶花の記録として茶花園の野草と木の花も撮っています。年によって花つきの良し悪しが分かります。

甘茶の生け花

③摂心会の茶室の茶花は毎日替える
 毎日替えることは芯になるお花と添えになる枝物が必要ですので、最初の頃は行き詰まりました。しかし、この広い本部道場に先師の奥様の珠月様や皆さんが育てた草木がたくさんあるので毎日替えることが出来そうと思って現在に至っております。それが出来るのは茶花が一つひとつ違うからです。同じ草花の組み合わせでも花の向きや開き加減・葉の付き方が違い、写真に撮っておくことによってよく分かり、記録の大切さがよく分かり、茶花は正に一期一会と思いました。
 このようなことをすることにより野草と木の名前や芽出しの芽の違いが、一層はっきりと分かるようになり茶花が身近になってきています。

④自然に活ける
 多くの茶人は、花は野にあるように活けることを説いています。草花のように活けるのも言葉は違っても同じ意味と思います。秋のくずの花は、葉が大きく花が隠れていますがそれも又、趣がありますので、そのくずの在り様に活けるとダイナミックで面白いです。一枝活けも、お花の細かい様子が分かります。野草と木の持ち味を損なわないようにこれからも活けたいと思います。


 本部道場の草木図(本部道場西側の茶花園付近)


 小中学校では、四季の草花と樹木が何年生に役立つかを明確にするために学校の草花・樹木地図を作成致します。当然植物園でも作成し植物を管理していると思います。これらを真似て本部道場の草木地図の一部を作りました。

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①平成24年3月3日現在の本部道場西側茶花園付近
 ここに多くの野草類が生えています。その周りに花木が植えてあります。特に椿類が多いです。

②草木地図の見方
 ○の部分は木関係 ・の部分は野草と草花で、一年草と宿根草
 草花の四季までは分けられませんでしたが、その地図付近には時期が来ると花が咲きます。
 この地図を見て気づくでしょうが、本部道場には茶花になる草木の種類が多いことが分かります。

③希少価値のある野草
 あずまいちげ:2月から3月上旬に咲きます。
 かたくり:3月中旬から4月上旬に咲きます。

キバナカタクリ

 熊谷草:以前は洗心庵茶室の待合の斜面に咲きましたが、今は絶えてありませんが房総道場にあります。4月上旬から5月上旬に咲きます。

④椿の種類
 本部道場には椿の種類がたくさんあります。草木地図には椿としか書きませんでしたので、ここに名前を整理致します。椿は11月から翌年の4月末頃まで長い期間咲きます。

 

 白花系:白侘助・白玉・白妙蓮寺椿・白角倉・白藪椿・白宝珠・西王母
 花系:紅侘助・紅唐子・紅妙蓮寺椿・赤角倉・藪椿・崑崙黒
 ピンク系:曙椿・羽衣・初雁・浜千鳥・有楽椿(太郎冠者)
 斑入り・絞り系:秋の山・蝦夷錦・千代田錦・岩根絞り・胡蝶侘助
 本部道場には椿に次いで多いのは夏に咲く木槿です。
 日の丸・そこ紅(宗旦木槿)・花笠木槿・紅木槿・白木槿等です。

 花の命は短くて苦しきことの多かりきという言葉がありますが、花が咲くまで草木自身も大変でしょう。鑑賞側の私達にとっては、芽出しから枯れる迄茶花のドラマを見ているようです。正に茶花の一期一会です。
 これからも茶花の手入れを通して精進して行きたいです。


『あけぼの』第19号(平成24年5月)より転載

 

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